痛い、高い、怖い検査をしても、そのデータをもとに生活を変えなければ、検査をした意味は少なくなる。嫌いな検査より「生き方」を変える方を選ぶのも、1つの選択だろう。

 昨年の暮れ、英国医師会雑誌に、「人生って楽しい」と思う頻度が多い人の心臓血管系の死亡が、楽しくないと思っている人より少ないことがわかった。心と体はつながっているのだ。

・他人に優しいと記憶力がよくなる

 スイスのチューリヒ大学の研究では、ボランティア精神が高く他人に優しい人は、脳の側頭葉の脳細胞の量が多いことが明らかになった。言葉を使う力や記憶力をよくする可能性がある。

・日本人は友人が少ない

 日本とアメリカ、ドイツ、スウェーデンの60歳以上の男女を対象とした意識調査で、「困った時に、家族以外に助け合える親しい友人がいない」と答えた割合は、日本が最も高かった。「老後の備えを50代まで何もしていない」との回答が最も多かったのも日本で、42・7%だった。アメリカは20・9%。これでは年をとるのが不安になる。

・行動パターンを変えよう

 少年期のうちから、友達ができるような付き合いをしていることとか、他人に優しい行動パターンをとっていることが健康長寿には大事なのだ。病院で検査をして病気を作られるより、「生き方」を変える方がよっぽど効きそうだ。本当の「気質」は、意地悪でもいい。「気質」なんてどうでもいいことなのだ。行動パターンが大事なのである。人に優しく、思いやりのある行動パターンを自分の癖にして、「人生は楽しい」と思っていると、病気は少なくなり、健康で幸せで長生きができるようになるのだ。

 ◆鎌田實(かまた・みのる)1948年(昭23)6月28日生まれ、東京都出身。東京医科歯科大医学部卒。長野・諏訪中央病院院長で「健康づくり運動」を実践。脳卒中死亡率の高かった長野県の長寿日本一に貢献。04年からイラク支援を始め、小児病院へ薬を届けたり北部の難民キャンプ診察も続けてきた。文化放送「日曜日はがんばらない」(毎週日曜午前10時)出演。