東京都が、都内の「水辺空間」のさらなる有効活用を目指して、「舟旅(ふなたび)」と題した社会実験をスタートさせた。水上交通を、将来的に身近な観光&交通手段として定着させるのが目標。20年東京五輪・パラリンピックを控え、新たな観光資源への期待も込められている。東京湾から東京タワーと東京スカイツリーを眺め、運河をゆったり進む新航路の一部を体験取材すると、これまで知らなかった「水の都」としての東京が垣間見えた。

 「東京は、水の都といっても過言ではない。素晴らしい水辺空間の魅力をもっと実感してほしい」。小池百合子都知事が、先月14日の会見で「舟旅」と名付けた新たな社会実験の実施を発表した。勝どきを出発、天王洲やお台場、有明などをめぐる「東京港循環航路」の運航が、大型連休初日の先月29日に始まった。

 クルーズを思わせる「船」より身近な、水路の交通手段を想定して「舟」の文字を利用。臨海部や運河をめぐる現在運航中の航路は、昨年9~12月の社会実験で得られた利用者のアンケートなどを踏まえたもの。運河をめぐる航路は初めてという。区間ごとに乗り降りでき、1区間の料金はワンコインの500円。これも利用者の声を反映した。