自民党の石破茂元幹事長率いる政策集団「水月会」(石破派)が9日、都内のホテルで開いたパーティーが、国会日程のあおりを受けて進行が混乱する、ハプニングに見舞われた。

 「共謀罪」の審議や金田勝年法相の答弁をめぐり、民進党が提出した鈴木淳司法務委員長(自民)が、この日夜の衆院本会議での採決がセットされた。パーティーに先立つ石破氏の講演は午後6時に予定され、本会議のスタート時間と丸かぶり。自民党では、本会議開催に伴い「禁足令」を出しており、石破氏は約1時間の講演を終えた後、本会議採決に臨むため、国会への移動を余儀なくされた。

 本会議では、民進党議員による解任決議案の趣旨弁明が1時間以上に及び、採決が終わったのは午後7時半すぎ。解任決議案は与党の反対多数で否決されたが、石破氏は採決後に再び、ホテルに移動。パーティーの乾杯に何とか間に合わせ、事なきを得た。

 不可抗力とはいえ、中締めは午後8時半を回った。石破氏はあいさつで「世の中、何が起きるか分からない。朝まで(本会議が)続いたらどうしようと思ったが、民進党の説明も(約1時間で)常識の範囲内だった」と、述べた。「安倍政権の任期ある限り、全力で支えるのは自民党の責務だ」とした上で、かつて師事した田中角栄元首相が「総理総裁は、なろうと思ってもなれるものではない」と話していたことを紹介。「未来永劫(えいごう)続く政権はない。自分は(総理総裁の)任にあらずというのは、自己保身。次の時代を考え、行動していく」と述べ、ポスト安倍への意欲をあらためて表明した。

 パーティーには、自民党の二階俊博幹事長や同じ「ポスト安倍」の岸田文雄外相らが訪れたが、党派閥のパーティーに出席することが多い安倍晋三首相は、姿を見せなかった。