安倍晋三首相は9日、参院予算委員会で民進党の蓮舫代表と対決した。首相は、一部メディアやビデオメッセージで憲法改正案を示しながら、国会で説明しない姿勢を「あまりにも二枚舌だ」と追及されたが、憲法観が一枚岩ではない民進党の足元を見透かし、逆襲。厳しい追及で相手をやりこめた「VR(バーチャルリアリティー)蓮舫」の世界は、「リアル蓮舫」ではうまく実現されなかった。

 蓮舫氏は、「読売新聞を熟読してほしい」と述べた首相の8日の発言を批判。「新聞では気持ちよく話し、国会で話さないのは責任放棄だ」と述べ、撤回を迫った。しかし首相は応じず、「憲法は一方が具体的な案を出し、一方が批判するテーマではない」と反論。改憲私案の発表後に、執行部との路線の違いを理由に代表代行を辞任した細野豪志氏を引き合いに、「細野さんも提案した。民進党も具体的な提案を提出してほしい」と、皮肉った。

 「憲法の何を変えたいかではなく、自分が総理のうちに変えたいとしか見えない」と指摘された首相は、「今やらないといけないのは自衛隊だ」と、9条改正に言及。「憲法学者の8割が違憲という状況を変えるのは、私たちの世代の責任」と述べ、「蓮舫さんね。政治家は立派なことを言うだけでなく、結果を出さないと」と諭した。