将棋の連勝記録歴代1位の29連勝を達成した最年少プロ棋士、藤井聡太四段(14)が2日、第30期竜王戦決勝トーナメント2回戦の対局中、昼食に冷やし中華(大)を注文した。

 注文を受けた東京・千駄ケ谷の「そば処みろく庵」で、冷やし中華(大=850円)を実食した。味は酸味があり、さっぱり、さわやかで、午前9時33分に会場入りと、朝が早かった藤井四段の頭にも心地よい刺激を与えてくれそうだ。具はカニかまぼこ、ハム、卵、ほうれん草、もやしとバラエティーに富んでおり、バランスが良い。長時間、対局が続くことが予想される中、腹持ちも良さそうだ。

 非常にもちもちした太めの麺は、自家製麺しているという。店の関係者によると「冷やし中華は、いつもは1日1食も出ませんが、これまで藤井棋士が食べきた(他の)メニューは人気でよく出ているので、麺類をどんどん作っています」と、うれしい悲鳴を上げた。

 一方、対局する佐々木勇気五段(22)は、肉豆腐定食もち入り(1050円)を注文した。肉の量が多い上に、トッピングしたもちも大きく、食べ応えがある。つゆは薄味ながらまろやかで、豆腐にかかったさんしょうの、さわやかな刺激が1つのアクセントになっており、クセになりそうな味だ。こんにゃくともやしも入っており、具のバランスもいい。定食には、きんぴらごぼうとコンブを煮た小鉢2点とつけもの、みそ汁とごはんがついており、相当、ボリュームがある。

 この日は、両棋士のメニューを実食し、リポートしようという報道陣が殺到した上、休日で家族連れも多く、店は大混雑。厨房の料理人たちの間に緊張感がみなぎり、店内の店員に向け、時に厳しい声も飛んだ。報道陣が冷やし中華を多数、注文したため、店員が一般客に「冷やし中華は、なくなる可能性が高いので、頼まない方が…」と、藤井四段が29連勝を決めた6月26日の対局時に昼食に注文した「ぶたキムチうどん」を勧めるほどだった。

 金沢から上京した将棋ファンの男性(37)は「将棋を結構やっていて、対局があるということで遊びに来た。(昼食にも)興味があった。いい思い出になりました」と大喜びした。【村上幸将】