2020年東京五輪の聖火リレーの出発地が宮城県石巻市と沖縄県に絞られたとの一部報道について大会組織委員会の森喜朗会長は20日、「このように先に出てしまうと組織委としては絶対にここではできないということになる」と述べた。同市は被災地の中でも最も早くから出発地の誘致に力を入れてきたが、石巻案が消滅する可能性も出てきた。

 同市には64年東京五輪で使われた旧国立競技場の聖火台が貸与されている。東日本大震災の被害規模が最大の自治体として聖火リレーの誘致活動に尽力。聖火リレー検討委員会でも実際に候補地として挙がっていた。しかし、森氏は「石巻の名が候補の1つとして挙がっていたことは事実だが、他にも東北には被災地がある。報道で出たら逆に、なくなったと見ていただいていいと思います」と語った。

 昨年、東京都の小池百合子知事がボート会場を同県の長沼に移そうとした事例を挙げ「県中が大騒ぎになる。それでダメになったら大きな衝撃。(聖火リレーは)ボート場の時のような騒ぎでは済まない」と懸念した。

 組織委関係者によると、聖火リレーなどのセレモニー関連については国際オリンピック委員会(IOC)が情報管理を徹底するよう求めている。報告前に情報が出ると「IOCの機嫌を損ね、難しくなる」と話した。