長崎県・対馬で、野生のカワウソ1匹の姿が撮影されたと、琉球大の伊沢雅子教授らが17日、発表した。生きたカワウソの姿は、1979年(昭54)に高知県須崎市の新荘川で目撃されたのが最後とされ、38年ぶりの「大発見」となった。

 映像は、ツシマヤマネコの生態調査で設置された撮影装置が、今年2月に撮影。カワウソは数秒間、カメラに映り込んだ。環境省で会見した伊沢氏らは、「カワウソに間違いない。ビックリ。栄養はよく、健康と考えられる」と説明した。

 注目は、今回確認されたのが絶滅したとされる「ニホンカワウソ」かどうかということだが、ニホンカワウソか別の種か、判別できていない。報告を受けて7月から緊急調査を行っている環境省は、現地で動物のふんや毛を採取。ふんのDNA分析の結果、ユーラシアカワウソ2匹のものの可能性があると公表した。カワウソは雄と雌1匹ずつとみられ、雄は韓国やロシア・サハリン由来の可能性があるが、雌の個体はよく分からなかったという。

 ただ、ニホンカワウソの可能性もゼロではない。伊沢氏らのチームも(1)ニホンカワウソが絶滅せずに生き残った(2)ユーラシアカワウソが約50キロ離れた韓国から海を渡った(3)人が関係して入った-の3つの可能性を指摘しており、環境省も、引き続き調査を進める。

 ニホンカワウソは、体長約60~80センチ。長いしっぽと短い足を持つ。明治時代ごろまでは全国に分布し、東京・荒川でも目撃された。今回発見された対馬には、江戸時代に生息していたという記録もあるが、乱獲や河川環境の変化で生息域を追われたとされている。