北朝鮮を訪問していたアントニオ猪木参院議員(74)が11日、帰国し東京・羽田空港で会見を開いた。午後8時36分、会見場に現れた猪木議員は「元気ですかぁ~!! 元気が最近、なくなってきている。ここまで来るのも息切れした」と切り出した。

 猪木氏は、9日の北朝鮮の建国記念日に合わせて6日に日本を出発し、中国・北京を経由して7日に平壌入り。8日に朝鮮労働党本部で国際部門を統括するナンバー2の李洙■(リ・スヨン)副委員長と1時間15分会談した。

 会談では、北朝鮮が3日に6回目の核実験を行い、大陸間弾道ミサイル(ICBM)用水爆の実験が成功したと発表した件や、ミサイル発射実験を繰り返す件を含め、話を聞いたという。李副委員長は、激しい対立が続く米国や国連安保理による新しい制裁決議など、核実験に対し国際社会の中で批判が高まっていることについて「米国が圧力をかけ続け(国連安保理が)制裁を加えるなら、我々は技術を開発して(ミサイルは)強固なものになる」と、国際社会の対応次第で核実験を継続し、ミサイルを強化すると明言したという。

 また猪木氏は、16年9月に訪朝した際に行われた5回目の核実験の際に、既に水爆が出来ていたと当時、北朝鮮側から説明があったと明かした。「私が去年行った時、規模はどうか知らないが『もう出来ていますよ』と話していた。今回の大きさから言えば、すごい強力なものになっている」と語った。

 猪木氏は9日の建国記念日にも李氏と昼食会を行い、より親密な対話をしたといい、同日夜の祝賀パーティーでは朝鮮労働党ナンバー3の金永南(キム・ヨンナム)氏とも話したという。両氏とは、昨年9月に訪朝した際も会談しており、2年連続での会談となった。パーティーには金正恩委員長の姿はなく、建国記念日に通常、行われるパレードや花火大会も、今年はなかったという。

 猪木氏は「ひざを付き合わせない限り、向こうの言い分も分からない。話し合いの空気に変わってきている。話さないと、しょうがないだろう…ずっと私が言ってきている。政治の世界は表と裏がありますので、本音の話の部分は、話し合いをしないとしょうがない」などと対話の重要性を訴えた。【村上幸将】

※■は土ヘンに庸