米情報会社クラリベイト・アナリティクスは20日、論文の引用回数の調査などに基づき独自に予想したノーベル賞の有力候補者22人を発表した。日本人では、化学賞に桐蔭横浜大の宮坂力(つとむ)特任教授(64)を選んだ。

 この有力候補者は「トムソン・ロイター引用栄誉賞」として02年から恒例化。近い将来ノーベル賞を受賞する可能性の高い研究者を選出し、その研究業績をたたえることを目的としている。日本人では過去に25人が受賞。山中伸弥京都大教授、中村修二米カリフォルニア大サンタバーバラ校教授、大隅良典東京工業大栄誉教授の3人が実際にノーベル賞を受賞した。

 宮坂氏は09年、光エネルギーを電気に変換する効率が高い「ペロブスカイト結晶」を使った太陽電池を考案。同分野は再生可能エネルギーの拡大などを背景に研究に火がついており、宮坂氏の論文は世界中の研究機関から3300回以上引用されていた。

 同氏は文書で「多くの人のつながりが研究を成功させたと考えています」とコメント。ペロブスカイト材料に遭遇したのは「大学院生が持ち込んだ研究課題がきっかけ」とも明かしている。

 今年のノーベル賞は来月2日の医学・生理学賞を皮切りに、各賞が発表される。