安倍晋三首相は25日、28日の衆院解散を正式に表明し、「国難突破解散」と命名した。この3時間半前、東京都の小池百合子知事(65)が大勝負を仕掛けた。都庁で緊急会見し、新党「希望の党」の立ち上げと、自身の代表就任を表明。「(選挙後も)与党になるか野党になるか、分からない。政権選択選挙だ」。安倍1強体制の「破壊」も視野に、ケンカ選挙に持ち込んだ小池氏に、自民も野党も戦々恐々だ。衆院選は10月10日公示、22日投開票。日刊スポーツは連載企画「激戦 秋の陣」で、選挙戦を詳しくリポートする。

 「大義がない」「北朝鮮情勢が緊迫する中」「加計・森友疑惑隠し」…。多くの疑問が投げかけられる中、28日に召集する臨時国会の冒頭で解散することを正式に表明した安倍首相は「この解散は国難突破解散であります」と自らネーミングした。

 首相は19年10月の消費増税2兆円の使途を幼児教育、高等教育の無償化などに当てることを明かし、「消費税の使い道を見直すことを本日決断した。大きな決断をした以上、すみやかに国民の信を問わなければいけない」と語った。しかし、臨時国会で審議を一切行わず冒頭解散しなければならない理由については触れなかった。

 勝敗ラインについては「政権選択選挙であり、与党で過半数を取れなければ辞任することになる」と、自公両党で233議席を掲げた。現有は自公で323議席で、マイナス90議席でもOKという甘めの設定。小池都知事が立ち上げた「希望の党」については「希望というのはいい響きだと思います。第1次安倍政権で安全保障担当の補佐官、防衛大臣をされ、安全保障の基本的理念は同じ」と秋波を送り、「フェアに戦いたい」と話した。