東京都の小池百合子知事が事実上率いる都議会第1党の地域政党「都民ファーストの会」に所属し、昨年7月の都知事選から小池氏を支援して「ファーストペンギン」と呼ばれた音喜多駿都議(34)と上田令子都議(52)が離党を検討していることが3日、分かった。都議会第3定例会が閉じる5日に離党届を提出する方向で調整している。

 国政政党「希望の党」代表に就任した小池氏の政治姿勢に反発する動きで、衆院選にも影響が出そうだ。

 音喜多氏は取材に「小池氏の政治姿勢や都民ファーストの会の運営方針に疑問を感じる。離党を検討しているのは確か」と答えた。

 9月、小池氏の側近である荒木千陽都議が都民ファ代表に就任。小池氏を含む幹部3人だけで決定した経緯に音喜多氏は「ひどいブラックボックスで自民党以下だ」と批判していた。2人は都知事選から真っ先に小池氏をサポートしてきたが、今年7月の都議選で都民ファが大勝すると、小池氏に近い議員を重宝し、2人は冷遇を受けた。

 都民ファ関係者によると、小池氏の政治姿勢に疑問を持つ都民ファ都議は2人だけでなく、少なくとも10人以上はいるという。2人の離党を皮切りに造反者が増える可能性もある。

 「希望の党」関係者によると、衆院選で音喜多氏に東京1区からの出馬を打診していた。ギリギリまで調整していたが、都民ファ関係者によると、言うことを聞く側近の荒木氏を代表に据え、意のままに政党を操る姿勢や「情報公開が一丁目一番地」と言いながら正反対の政治をする“独裁色”を強めてきた小池氏の下で国政に進出しても「政治家としてダメになる」と判断したという。希望は同区に女性の新人候補を公認した。

 音喜多氏と上田氏は都議会閉会後、新たに会派を組む見通しで、会派名は都民ファになる前の「かがやけTokyo」に戻すとみられる。手広く国政にまで関与した小池氏の足元が、ぐらついてきた。【三須一紀】