第48回衆院選の投開票が行われた22日、若手弁護士とのダブル不倫疑惑で民進党を離党し、愛知7区から無所属で出馬した山尾志桜里氏(43)が自民前職、鈴木淳司氏(59)の一騎打ちを制した。

 山尾氏は「逆転の1票を投じていただいた有権者のみなさんに感謝したい」と笑顔を見せた。約800票差での勝利だった。

 選挙戦では女性、特に主婦からの拒否反応は激しく、握手をあからさまに拒絶する女性もいた。街頭では「厳しい言葉も皆さんの声だと心に刻みます」と頭を下げ、「これまで以上に頑張ります」と訴えた。

 9月初旬に週刊文春に疑惑が報じられ、内定していた党幹事長への起用が見送られた。疑惑報道は民進党を直撃し、安倍首相が解散を決断した要因の1つとも言われた。山尾氏は9月下旬に地元の支援者を集めた会合で無所属の出馬を表明。男女関係は改めて否定し、おわび行脚した。

 山尾氏は小学4のときにミュージカル「アニー」の初代アニー役を務め、東大法学部を卒業後、司法試験に合格。07年まで検察官だった。09年に初当選。昨年、ブログの「保育園落ちた日本死ね」の言葉を国会で取り上げ、待機児童問題の追及で注目されるなど、民進党のエースとして期待されたが、疑惑報道でつまずいた。

 離党後、民進党は事実上解党し、分裂した。山尾氏にも激動の2カ月だった。今回は国政選挙4度目で、初の無所属。比例復活のない激戦を制した。ミュージカル「アニー」の初代アニー演じた山尾氏に「トゥモロー(明日)」が訪れた。