今冬のトレンドは「ケーキ鍋」だ! 通販サイト大手の楽天市場は今月1日から、同サイト内の人気3店舗と共同開発したケーキ鍋の発売を開始。同日、都内で発表会と試食会を開催した。発売から2週間あまりが経過したが、ユーザーからの評判も上々だ。SNSで話題のケーキ鍋が、ブームを予感させている。

 「ケーキ鍋」といっても、甘いケーキが鍋料理になっているわけではない。ケーキのように華やかで、写真映えする、手作り感のある鍋だ。楽天市場のトレンドハンター清水淳さん(43)は「テーマはうま味の凝縮。見た目はもちろん、今回は味をとことん追求しました」とこだわりを語った。

 鍋料理だけで約5万7000の商品を扱う同サイトの中でも、人気の3店舗とコラボした。セゾンブシェの「フォトジェ肉ケーキ鍋」、ちこり村の「発芽野菜ケーキ鍋」、おどろきっちんの「九州野菜のケーキ鍋キット」。どれも名前に「ケーキ」が入り、インパクトのある商品だが、だしが効き、野菜がたっぷり入っているのが特徴だ。

 試食会に参加した吉見勝弘さん(70)は「実際に見るまではケーキ鍋の意味が分からなかった。でも、食べてみると見た目も楽しくて味もおいしい」と満足げな表情。1歳1カ月の子どもと出席した女性(33)は「甘いのかな? クリーミーなのかな? と思って来たけど、野菜たっぷりでだしが効いて、普通においしい。子どもが大きくなれば、一緒に作っても楽しめますね」と笑顔だった。

 昨年あたりから、鍋料理に限らず「フォトジェニック(写真映えする)」な料理が流行している。ただ、楽天市場は今回、フォトジェニックの要素も大切にしつつ、とにかく味にこだわった。清水さんは、SNSに写真を上げることばかりが重視されている状況に、警鐘を鳴らす意味もあったという。「フルーツ鍋もはやっているが、今の時代、社会的にも『しっかりとおいしいもの』が必要。食べる人に、見た目だけで楽しんでもらうのは嫌です。おいしくないと、最後まで楽しめないでしょ」。

 開発段階では「新鮮な食材を、どうフォトジェニックに届けるか」という苦労もあった。ただ、消費者に「作る過程も楽しんでもらう」ということで、野菜のカットや盛りつけなどを消費者に任せることになった。食材をそのままの形で送り届けている。「あえて手間がかかるようにして、作るのも楽しめるように意図している。それも今年のブームのポイントです」と胸を張る。

 鍋といえば、冬の定番料理だが「ユーザーさんに楽しんでもらうため、毎年新しいものを生み出しています。今年はケーキ鍋。絶対にブームになりますよ」と力を込めた。【太田皐介】

 ◆楽天市場 1997年(平9)5月にオープンした、楽天が運営するインターネット上の仮想商店街。今年9月時点で約4万5000店舗が出店。食品以外にも、不動産や保険など総商品数は2億点以上。出店店舗とともに、新しいトレンドや商品を生み出す活動も行っている。昨年は「ハイブリッド○○」や「大人ペアコーデ」などの商品がヒットした。