東京都江東区の富岡八幡宮で起きた殺傷事件で、自殺した富岡茂永容疑者(56)と妻真里子容疑者(49)夫妻が、殺害された宮司の富岡長子さん(58)の自宅周辺を見渡せる近くのマンション最上階の部屋を借りていたことが12日、捜査関係者への取材で分かった。

 警視庁捜査1課によると、契約は富岡八幡宮が神社本庁からの離脱を決めた5月29日の約3週間後の6月20日。部屋から、真里子容疑者が警察と報道関係者に宛てた12月1日付の封書が1通、発見された。手紙には「積年の恨みから殺害することにした」「自害するつもりだが、1人でできない場合は夫にそのほう助を依頼している」とあった。

 長子さんは7日午後8時半ごろ、男性運転手(33)の運転する車で帰宅。富岡八幡宮境内北東の自宅前通用門付近で待ち伏せていた茂永容疑者夫妻に日本刀などで襲われたとされる。

 外部から長子さん宅脇の通用門に続く車道は、近くの小学校脇の1本道だけ。茂永容疑者夫妻が借りた部屋は5階。真下の4階の部屋からは1本道と長子さん宅の洋館が見渡せた。容疑者夫妻の部屋からは双眼鏡、日本刀(刃渡り約65センチ)やマグロ解体用の包丁(同80センチ)などが発見された。長子さんの行動を確認し、犯行拠点とするための部屋だった可能性がある。

 4階に住む内装業の男性(31)は9~10月ごろ、階段で茂永容疑者夫妻とすれ違った。「旦那さんの方は丸刈りで、黒と金のジャージーにサングラス。暗い感じで、他人と関わりたくない雰囲気を出していた」と振り返った。【清水優】