大阪府寝屋川市の住宅のプレハブに柿元愛里さん(33)が監禁されて凍死した事件は、府警が死体遺棄容疑で両親を先月23日に逮捕してから3週間が過ぎた。わずか約2畳の部屋に15年以上閉じ込め、モニターで常時監視していたという異様な事件。愛里さんは01年ごろ統合失調症と診断され、父親の泰孝容疑者(55)が隔離。行政からの支援は受けず、近所付き合いもせず、一家は孤立を深めていった。

 愛里さんは、統合失調症と診断された01年ごろから監禁されていたとみられる。精神医療に関わる関係者からは「監禁は治療ではない。論外だ」と憤りの声が上がる。

 厚生労働省によると、統合失調症はおよそ100人に1人がかかる病気。幻覚や妄想という症状が特徴的な疾患だ。適切な治療を継続的に受けることで、多くの患者が症状を抑えることができ、安定期を経て治癒へと向かう患者も多いという。早期に医療機関につながり、治療を継続することが重要だ。

 愛里さんの小学校時代の同級生らは、愛里さんの体に複数のあざや傷ができているのをよく見ており、発症前に虐待を受けていた可能性も指摘されている。幼少時に虐待を受けると脳が萎縮し、うつ病や統合失調症などの一因になるとする「子どもの脳を傷つける親たち」の著書がある、福井大子どものこころの発達研究センターの友田明美教授は「子ども時代の虐待は、将来、統合失調症を発症しなくてすむ人にまで発症させてしまうことが分かってきている」と話す。

 「プレハブに閉じこめる『療養』は考えられない」とした上で「当時の児童相談所を含め、周りの社会が知らなかったことが大きな問題。一家は、社会的支援を受けられず、メンタルヘルスの知識を得られず孤立した。児童相談所を含め、行政の対応も問われる」と指摘した。【清水優】