歌舞伎俳優の市川海老蔵(40)は19日、都内で行われた東京青年会議所主催の討論会に小池百合子都知事とともに出席し、2020東京五輪(オリンピック)・パラリンピックに向けた課題や、「ポスト2020年」に向けた持論を語った。

 20年大会に向け、外国人観光客はさらなる増加が見込まれるが、海老蔵は、歌舞伎鑑賞に訪れる外国人にとって、現状では歌舞伎が分かりにくい環境にあることを指摘。「(外国人は客席の)1割に満たない。『判官びいき』『本音と建前』などの言葉の意味も分からない中、1時間(の鑑賞)は厳しい」と指摘。「言葉の壁を越えたい。パフォーマンスを模索することも考えている」と述べた。

 小池氏が「イタリアのオペラのファンは、(言葉が分からなくても)高いチケットを買って観に行く。『第九』もドイツ語だ。歌舞伎もしっかりPRすれば、よりグローバルになれるのでは」と提案すると、海老蔵は「オペラやバレエとは土台が違う。(オペラやバレエは)世界共通だが、歌舞伎は日本固有の文化で、他の国の人は触れたことがない」と指摘。「『壁』を変えなければいけない」と訴えた。

 また、2020年の後の日本や東京を念頭に「リオデジャネイロ五輪が終わった後のリオは今、苦しい状態。東京はああいうふうになってはいけない。さまざまなお金をかけてつくるものをどう活用し、消費していくかが非常に重要」と指摘。「五輪はゴールではなく、何が生まれているかが本当のレガシー(遺産)になる。先の夢写真を描けるきっかけになればいい」と提案した。

 一方、小池氏は平昌(ピョンチャン)五輪の盛り上がりを喜んだ上で、「その次はいよいよ20年東京大会。東京大会を史上最高のものにしたい」と述べた。持論の無電柱化や街のバリアフリー化、健康増進、ボランティアへの参加などの政策を挙げ「(大会を通じて)成熟都市としてのレガシーを残したい」と訴えた。