厚生労働省は21日、裁量労働制をめぐる不適切なデータ問題に関する野党のヒアリングで、14日に加藤勝信厚労相が「なくなった」と答弁した調査の事業所別の原票が、同省の「地下室」で発見されたことを明らかにした。

 今回と経緯が似ている陸上自衛隊の日報隠蔽(いんぺい)問題では昨年、稲田朋美防衛相や防衛省幹部の辞任に発展した。加藤氏は安倍晋三首相の最側近だけに、裁量労働制の撤回を求める野党は、加藤氏の責任を徹底追及。データの「隠蔽」や「捏造(ねつぞう)」の可能性もあるとして、政府に法案撤回を迫る構えだ。

 一方、裁量労働制に関する不自然なデータ処理が、新たに117件見つかったことも判明した。立憲民主党の長妻昭氏が厚労省の公表資料を精査して発見。厚労省は、指摘されるまで気付かなかった。政府は、働き方改革関連法案に盛り込む裁量労働制の適用拡大の施行を、1年延期する検討に入ったが、小手先の手法は否めない。与党内でも「首相の答弁撤回の時点で無理が生じている。裁量労働は、削除せざるを得ないのではないか」との声が出はじめた。