裁量労働制に関する厚労省の不適切なデータ処理問題で、22日も不自然な数値の存在が表面化した。野党による合同ヒアリングで、裁量制で働く人の労働時間を調べた資料の中に、「1日4時間以下」との記入が、少なくとも約120件あったことが報告された。

 希望の党の山井和則氏によると、約120件のうち、1日の労働時間を「1時間以下」とした記入も20件以上あり、「極端に短く、不自然だ」(山井氏)。安倍晋三首相はこれらの調査に基づき、裁量制で働く人の労働時間が一般労働者より短いと答弁し、後日撤回に追い込まれた。答弁の根拠となったデータそのものの信ぴょう性が強く疑われる事態で、今後、野党が批判を強めるのは必至だ。

 これに先立ち、加藤勝信厚労相は衆院予算委員会で、立憲民主党に指摘されていた不適切な処理117件が事実だと認め、調査次第でさらに増える可能性を示唆していた。調査中の結果をいつ示せるかも明言できず、問題の深刻さをうかがわせた。立憲民主党の逢坂誠二氏は「これ以上の不備が出れば、厚労相の進退に関わる」と指摘したが、首相は「いつまでにと言えないのは申し訳ないが、データをしっかり精査すると申し上げている」と述べるにとどめた。【中山知子】