森友学園への国有地売却をめぐる決裁文書14件で改ざんを認めた財務省は、13日も野党の追及で“火だるま”になった。改ざんの目的や指示した人物など肝心な部分は調査が続き、結果公表の時期も未定だ。

 一方、森友案件の担当部署にいた近畿財務局職員の自殺に関し、遺書に文書の書き換えを財務省から指示されたと書かれていたとする一部報道も、問題視された。麻生太郎財務相は重ねて辞任を否定したが、自民党内では安倍晋三首相の責任論も浮上。安倍政権は四面楚歌(そか)に陥り始めた。

 公文書改ざん判明から一夜明けた13日。野党が毎日国会内で開くヒアリングは、2時間に及んだ。改ざんの事実こそ認めた財務省だが、改ざんの目的や指示した責任者、関わった人数などの実態は、省内の調査を理由に明かしていない。この日も、富山一成・理財局次長は「調査は続いている」と明確な答弁を避け、質問と答弁がかみ合わず、質問を畳みかけられて言葉に窮する場面もあった。

 会場は冒頭から、重苦しい空気が流れた。土地売却を担当した部署に所属した近畿財務局職員が7日に自殺した問題で、職員が本省の指示で文書を書き換えさせられたと遺書に記述があると、13日の読売新聞夕刊が報じたためだ。富山氏は事実関係を問われ、「職員個人のことで、コメントは控えたい」と答えを控えた。「職員の奥さんと連絡が取れないという情報があり、遺書も消えたという。(財務省が)どこかにかくまっていることはないのか」との指摘も出たが、富山氏は「報道を承知していない」と口は硬かった。

 一方、会計検査院に財務省と国土交通省がそれぞれ内容が異なる決裁文書を出していた問題で、財務省は今月5日に国交省から違いを指摘され、改ざん前の資料のコピーを渡された。その段階で改ざんを把握したものの、国会には12日まで報告しなかった。会計検査院からも「心外。あってはならない」と批判された富山氏は「これとこれが見つかったという報告方法もあるかもしれないが、トータルとして(まとめて)12日に出した」と釈明。「(その前に国会に出した改ざん後の)大量のコピーは、無駄だったね」と、森裕子参院議員に皮肉られた。

 一方、麻生太郎財務相は「責任を取らないのは世の中に示しがつかない」(立憲民主党の辻元清美氏)と、引責論が強まっている。麻生氏は「原因究明と再発防止が与えられた仕事」と辞任を否定したが、状況は厳しさを増している。