林芳正文科相は20日、前川喜平前事務次官が名古屋市立中の授業で講演した内容の報告を市教育委員会に求める前に、自民党文教族の国会議員2人が、文科省に前川氏が招かれた経緯などを複数回、照会していたことを明らかにした。

 2人は、自民党文科部会長の赤池誠章参院議員(56)と、部会長代理の池田佳隆衆院議員(51=比例東海)。赤池氏は会見し、前川氏が文科省の組織的天下り問題で処分を受けたとして「法令違反をした人が教壇に立って良いのか事実確認した」と述べ、圧力は否定した。池田氏は、自民党が政権を奪還した12年衆院選で初当選した「安倍チルドレン」で、不祥事が続発した3回生の1人。愛知の地方議員からは「地元の会合で首相の成果の話ばかりしている」などの声もある。

 文科省は池田氏に、市教委への質問項目を事前に示し、意見を聴いて15項目の質問のうち2項目に修正を加えた。「池田氏の地元であり、国会議員でもあることから丁寧な対応が必要と考えた」として、池田氏側の要求ではないと強調した。林氏は教育への政治的な介入との見方を否定したが、同省の判断に影響した可能性は高い。野党は両氏の参考人招致を求める方針。