観衆から「そだね~」の大声援が響いた。平昌冬季五輪(ピョンチャンオリンピック)カーリングで日本勢初の銅メダルを獲得した女子日本代表「LS北見」の祝賀パレードが21日、地元の北海道北見市で行われた。沿道には約1万2000人が集合。チーム、行政、商店街、ファンが一体となった一大イベントに、普段は静かな街が大フィーバーに包まれた。
雲一つない青空の下、LS北見の笑顔がはじけた。銅メダルを祝う祝賀パレードは沿道からの「そだね~」コールを合図にスタート。特別仕様のトラックに乗り込み、全長600メートルを約30分かけて移動した。メダル片手に飛び交う沿道の声援に全力で手を振って応えた。本橋麻里主将(31)は「皆様に会えてホッとしています」と万感の思いを口にした。
街も久しぶりの一大イベントに盛り上がった。北見市のパレードは開基100年の96年にミッキーマウスが行って以来、22年ぶり。今回は当時の観衆約2万人には及ばなかったが、1万2000人が集まり、熱気を帯びた。警察、スタッフ含め約350人の警備態勢が敷かれた。
会場となった商店街の各店舗は手作りで店頭を装飾した。洋服店「Berkeley」ではモップとアイロンでカーリングの動きをイメージしたマネキンを置いた。競技中のハーフタイム「もぐもぐタイム」で話題になった銘菓「赤いサイロ」を販売する老舗菓子店「清月」には五輪終了後も毎日、午前7時前から行列が絶えない。この日も開店前に約70人が心待ちにした。関東から訪れるファンも多く、経済効果にも一役買った。
今年2月末で11万8623人の北見市の人口は、00年をピークに減少傾向。少子高齢化が進む地方の都市にとって、LS北見の快進撃は明るいニュースだった。パレード後に行われた市民報告会では、チームに市民特別栄誉賞が贈られた。五輪の快挙はもちろん、北見市の知名度向上に貢献した実績をたたえるために新設された賞だ。
スキップ藤沢五月(26)は「今日をきっかけにおめでとうから頑張ってねと声をかけられるような、北見市の皆様に愛されるチームになりたい」とあいさつした。LS(ロコ・ソラーレ)のソラーレはイタリア語で太陽の意味。パレード開始時に気温1度と冷え込んだが、5人が「カーリングのまち」を照らし、温かな歓声に包まれていた。【西塚祐司】
◆北見市 2006年3月、北見市、端野町(たんのちょう)留辺蘂町(るべしべちょう)常呂町(ところちょう)の合併で誕生した。北海道で最も広い地方公共団体で、面積1427・41平方キロ。全国でも高山市(岐阜県)浜松市(静岡県)日光市(栃木県)に次いで4位。かつてはハッカが特産で1939年(昭14)には世界の7割を生産した。現在はタマネギ、インゲンの生産量、ホタテの水揚げ量が日本一。過疎が進み、人口は合併時の12万8664人から11万8623人(2月28日現在)に減少している。
◆旧北見市の開基 市のホームページによると、1897年(明30)に屯田兵100戸が端野(たんの)地区に入植。端野説教所(現・無量寿寺)で寺子屋の授業が始まった。それから100年目の1996年に、パレードなどの開基100年記念事業が行われた。