「キーマン」は何を話すのか。希望の党など野党3党は22日、森友学園をめぐる財務省の文書改ざん問題の真相解明へ、学園の前理事長、籠池泰典被告と今日23日、大阪拘置所で接見すると明かした。同被告が弁護士以外と接見するのは、逮捕以来初めて。野党は、安倍晋三首相の昭恵夫人の関与の有無などを確認する。ちょうど1年前の3月23日、国会の証人喚問で夫人からの100万円寄付の様子を主張、「籠池爆弾」をさく裂させた籠池被告。再び「爆弾」発言は出るのか。

 23日に籠池被告と接見するのは希望の党、立憲民主党、共産党の3党。19日付で野党6党として、大阪地裁に接見を求める申請書を大阪地裁に提出。この日までに申請が認められた。

 籠池被告は昨年7月31日に詐欺容疑で逮捕されて以降、弁護人以外とは面会できない状態が続く。今回は、弁護人以外では初の接見で、「肉声」が伝わるのも初めて。接見は2回に分け、26日には民進、自由、社民各党が行う予定だ。

 国会内で会見した希望の党の今井雅人衆院議員によると、接見は午後4時ごろから約15分の見通し。森友学園への国有地売却問題では、財務省による決裁文書改ざんという深刻な事実が露呈し、籠池被告の逮捕当時とは、政治状況も異なる。今井氏は「籠池さんの言っていたことは本当なのではと思う部分もある。新しい事実も出ており、昭恵夫人をはじめ、他の政治家の関与についても話をうかがいたい」。籠池氏の証言を踏まえた上で、27日の佐川宣寿・前国税庁長官の証人喚問に臨むとしている。

 最大の焦点は、昭恵夫人の関与の有無だ。改ざん前の文書に、籠池被告の言葉として書かれた「いい土地ですから、前に進めてください」という夫人の発言について、首相は「妻に確認し、そのような発言はしていない」と否定。籠池被告があらためて夫人の言葉と主張すれば、首相発言と食い違いが生じ、野党による夫人の証人喚問要求が強まる可能性がある。近畿財務局との国有地売却をめぐる経緯も、確認作業が行われる見通しだ。

 1年前の3月23日、籠池被告は国会で証人喚問された。その直前に参院予算委員会による現地視察の場で、夫人を通じて首相から100万円の寄付を受けたと主張したことが「首相への侮蔑」に当たるとして、私人では異例の喚問が決まった。あれから1年。逮捕後、家族も接見できず、異例の長期勾留が続く籠池被告。因縁の節目の日に、何を語るのか。【中山知子】

 ◆籠池被告の証人喚問VTR 昨年3月23日、衆参両院で計4時間、行われた。籠池被告は、夫人付き職員だった谷査恵子氏が、同被告の要望に応じて財務省に問い合わせたことを示すファクスを暴露。また、夫人から100万円の寄付を受けた際の様子として、「2人きりになり『安倍晋三からです』と封筒入りの100万円の金子(きんす)を受け取った。大変名誉なことなので覚えている」と主張した(官邸は寄付を否定)。「私だけがトカゲのしっぽ切りで罪をかぶるのではなく、関係者を国会に呼び真相究明をお願いしたい」とも訴えた。