立憲民主、希望、共産の野党3党の衆院議員は23日、学校法人「森友学園」の前理事長籠池泰典被告(65=詐欺罪などで起訴)と大阪拘置所(大阪市都島区)で接見した。議員によると、国有地売却に関する決裁文書から削除された安倍昭恵首相夫人の「いい土地ですから、前に進めてください」との発言について、籠池被告は「確かにそういうふうにおっしゃっていた。間違いない」と語気を強めたという。

 立憲民主党など野党各党は、接見で首相や昭恵夫人の主張と異なる証言が出たことを受け、昭恵氏の証人喚問は不可避との認識を強めた。接見内容は27日の佐川前国税庁長官の証人喚問に活用しながら、昭恵氏の喚問要求の根拠にする。政府、与党が拒否しても「疑惑はくすぶり続ける」(野党幹部)として、政権への揺さぶりを継続する。

 立民の枝野幸男代表は「昭恵夫人に聞かなければ、どちらの言っていることが正しいか分からない」と指摘。野党関係者は「『昭恵隠し』は、国民にも理解されない」と、世論の後押しにも期待を示す。今後は、国有地売却交渉時に財務省理財局長だった迫田英典氏や、夫人付職員だった谷査恵子氏、政務担当の今井尚哉首相秘書官の喚問も求める。昭恵氏の喚問が実現しなくても、改ざん問題は「政権ぐるみ」(枝野氏)と印象付ける狙いがある。

 自民党が昭恵氏の国会招致を認めないのは、同氏の行動が「読めない」(党関係者)ことも影響している。今月17日の福祉イベントでは「過去を後悔したり反省するが、先に起きることを恐れたりしない」と発言。ネット上では、昭恵氏が芸能人も参加したパーティーに出席していたことが“炎上”中。財務省の改ざんに加え、昭恵氏の行動にも批判が向けられている。