元広島カープの衣笠祥雄さんが死去したことが分かった24日、東京・神田の広島お好み焼き店「Big-Pig神田カープ本店」では、集まったカープファンが黙とうをささげた。あまりに突然の訃報に、「まだ信じられない」「早すぎる」という悲しみの声が上がり、涙を流すファンもいた。

 “都内のカープファンの聖地”と呼ばれる同店。この日も店内ではDeNA-広島が放送され、カープのユニホームを着たファンが熱い声援を送っていた。これはいつも通りの風景だったが、従業員は喪章をつけ、5回終了後には客も含めて全員で黙とうがささげられた。

 千葉市の会社員、平井雄二さん(47)は広島県出身で、物心がついたときからカープファン一筋。現役時代の衣笠さんを振り返り「したたかで文句も言わず、年をとってもチームのために仕事をする選手だった。あの鉄人が…。まだ信じられない」。黙とう後には、堪えきれず涙を流した。

 ツイッターで知り合ったファン仲間と来店した会社員の佐伯茜さん(22=埼玉県川口市)は「地元が広島で、家族3代でカープファン。衣笠さんの現役時代は知らないが、親からは『伝説の選手』と教えられた。テレビで見ても、温和で優しいイメージだった。本当に寂しい」と悼んだ。

 カープファン歴10年だという千葉県市川市の会社員の松田士郎さん(47)は、20年ほど前、大阪府内のホテルで偶然、衣笠さんと出会ったという。「当時は阪神ファンで、打たれまくった印象のある衣笠さんは嫌いだった。ただ、思わず『衣笠さんですよね』と声を掛けたら、気さくに握手してもらった」と笑顔で振り返った。

 その後、広島転勤を機に家族でカープファンに。「衣笠さんはテレビ解説でも言葉が優しく、人格者という印象。いつか広島の監督として帰ってきてくれると思っていたのに…。まだ71歳ですよね…」と、早すぎる別れを悔やんだ。