学校法人「森友学園」を巡る補助金詐取事件で詐欺と詐欺未遂の罪に問われ、10カ月近く勾留されていた学園前理事長籠池泰典被告(65)と妻諄子被告(61)が25日、大阪市都島区の大阪拘置所から保釈された。籠池被告は大阪市内で会見し「国策勾留だ」と非難した。安倍首相には「為政者は本当のことを言うべきだ」と強調。一方で俳句を披露したり、すすり泣く妻に「冤罪(えんざい)や」と慰める場面も見せるなど、「籠池劇場」の“復活”をアピールした。

<森友学園問題の今後>

 「破棄」されたはずの国有地取得を巡る学園と近畿財務局の交渉記録や決裁文書が、国会に提出された直後のこの日、籠池被告夫妻の保釈が決まった。公開された文書からは、開校予定だった小学校の名誉校長を一時務めた昭恵夫人との「蜜月」が漂う。財務省側と、夫人付職員だった谷査恵子氏とのやりとりには、安倍晋三首相が否定する昭恵夫人の「介在」がにじむ。財務省側も「現行ルールの中で(学園側に)最大限の配慮で対応している」と答えるなど、夫人と学園の関係を気にしていた様子もうかがえる。

 公開文書には、「小学校建設は首相、首相夫人、自民党幹部も認識している。(何かあれば、いつでも相談できる)」と諄子被告が述べた部分もあるが、首相は一貫して、学園側の蜜月関係を否定。しかし籠池被告は会見で「夫人は本当のことを言った方がいい」と、従来の主張を変えていない。野党内では、昨年3月に続く同被告の「国会再招致」を求める声も強い。