愛媛県の中村時広知事は27日、学校法人「加計学園」が、獣医学部新設を巡る加計孝太郎理事長と安倍晋三首相の15年2月の面会を「実際はなかった」と発表したことについて、「あり得ない」と激怒した。

 学園は26日、報道機関にファクスで紙1枚を送りつけ、会見も開いていない。中村氏は「本当に虚偽の説明があったなら、普通はまず(県や今治市など)関係者に謝罪し、責任者が会見をするのが世の常識だ」と指摘。その上で「まだ(学園の)説明を受けておらず、確認するまでは何とも言えない」と述べた。「文書自体に偽りはない。(学園のコメントが事実なら)県の文書が正しかった証明になる」とも述べた。

 県が21日に国会に提出した「新・愛媛文書」には、「学園から、理事長と首相の面談結果等について(県に)報告したいとの申し出があり」と記載。もし面談が事実でなければ、「うそ」の事案で県に面会を求めたことになり、学園の道義的な責任が問われる。今治市の菅良二市長も、理事長と首相の面談に関する報告を受けたと認め、学園と首相の当事者同士だけが否定する事態になっていた。

 菅市長は27日、加計氏と首相の面談について「学園が県に報告後、おそらく私と(学園関係者が)面会したと思う」「(2人の面談は)学園関係者から伝えられたと思うが、メモなど文書はない」と述べた。

 この問題は、今日28日の衆参予算委員会集中審議で大きな論点となる。首相がこの件で野党に集中攻撃される国会審議を前に、「面談はなかった」と発表した学園に、野党は「うその上塗り」と猛反発している。