千葉県松戸市のベトナム国籍の小学3年生レェ・ティ・ニャット・リンさん(当時9)が殺害された事件でわいせつ目的略取・誘拐、強制わいせつ致死、殺人、死体遺棄の罪に問われた渋谷恭正被告(47)の裁判員裁判第7回公判が13日、千葉地裁(野原俊郎裁判長)で開かれ、渋谷被告の元妻で事件当時も同居していた中国籍の女性(35)が検察側証人として出廷した。

 元妻は検察側の主尋問で、ヒトの尿反応が検出された渋谷被告の軽自動車に、事件のあった17年3月24日の2日後の同月26日に後部座席に乗ったと説明。この際「しばらく乗っていなかったが、26日に乗った時はカバーがなかったなと思った」と証言した。後部座席のシートや床部分からは、ヒトの尿の成分が検出されている。

 尿をめぐっては、初公判で検察側証人として出廷した医師が、裁判官から失禁の可能性について問われ「(首を絞められ)死亡にいたる過程のどこかで起きたか、死後も出る場合がある」と証言している。

 軽自動車から検出された尿反応が誰の尿に由来するかは断定できていない。ただ、軽自動車からはリンさんと同型のDNA型を含む血痕も検出されている。

 一方、警察の証拠捏造(ねつぞう)の可能性があるとして無罪を主張する弁護側は初公判で、リンさんが事件前にこの軽自動車に乗ったことがあると主張。見守り活動を行っていた女性も、リンさんと一緒に渋谷被告の軽自動車に乗ったことがあるとしている。

 また、この日は裁判員が、渋谷被告の軽自動車の尿反応をめぐり、渋谷被告と元妻の間に生まれた事件当時小学校1年生だった長女が後部座席でおもらしをしたことがないかを元妻に確認。元妻は「娘が保育園の時、おもらししたことはあります。運転席側の後部座席です」と証言した。最後のおもらしの時期は事件当時からさかのぼって「1年以上あると思う」とした。