「大迫半端ないって」。日本代表が勝利した19日のコロンビア戦後、新聞やテレビ、ネット上は、決勝点を決めたFW大迫勇也(28=ブレーメン)を称賛するこの言葉であふれた。

 この名言を生み出したのは、大迫が鹿児島城西高時代全国サッカー選手権大会の準々決勝で対戦し2-6で敗れた滝川二高(兵庫)の主将、中西隆裕さん。中西さんが名言を生み出した時、監督としてロッカールームにいた栫(かこい)裕保前監督(57)が20日、日刊スポーツの電話取材に応じ、当時を振り返った。

 「鹿児島城西はレベルが高く、注意すべきは大迫選手だけではなかった。試合前も特別な指示は出さなかった」。ただ、大迫はこの試合で2得点。後方からのロングボールを華麗にトラップし、仲間のゴールを生み出すなど大活躍だった。

 「それはもう、半端なかった」と栫前監督。試合後は、自ら大迫に歩み寄り「選手権も大事だけど、君は日本を背負う選手になるはず。今後も頑張ってね」と声を掛けた。大迫は「ありがとうございます」と返したという。

 中西さんは試合後のロッカールームで「大迫半端ないって。あいつ半端ないって、後ろ向きのボールめっちゃトラップするもん。そんなん、できひんやん普通」と絶叫した。この様子を収めた動画がネットで拡散。以降、大迫が活躍する度、この言葉が話題になっている。

 栫前監督によると、あの発言は、中西さんなりの仲間に対する思いやりだったという。「彼は明るくて真面目な主将らしい主将。カメラも入っていたので、落ち込むみんなを明るくしようと思ったのでは」。その後、栫前監督も「あれはすごかった。俺握手してもらったぞ」と名言を残している。大敗した滝川二ロッカールームは、笑い声に包まれた。

 「大迫半端ない」発言のあと、滝川二サッカー部と中西さんを取り巻く状況も変わった。栫前監督は「とにかく取材が相次いで、その後も大迫選手が活躍するとまた取材。学校が注目されるのはありがたいが、中西も今は社会人なので」と配慮を求めた。

 日本代表の勝利については「大迫選手や滝二出身の岡崎(慎司)の活躍はもちろんうれしいが、サッカー界全体が育てた日本代表。みんなを応援していますよ」と語った。