連日熱戦が繰り広げられているサッカー・ワールドカップ(W杯)だが、スーパープレーとともに注目されているのが開催地ロシア女性の美しさ。シャラポワ、ザギトワら世界的なアスリートたちだけでなく、モスクワの街を歩けば右も左も美女ぞろいだ。そこでロシア女性の化粧事情を探っていくと、ソ連時代から大きな変化が見えてきた。

 ロシアに美女が多いのは、緯度が高い位置にあるため、太陽から受ける紫外線の影響が少ないからだと言われる。モスクワ中心部にある百貨店の化粧品店で働くマリーアさん(28)は「最近の若い女性は、シンプルなナチュラルメーク。特別なことはしなくても美しいのよ」とほほ笑んだ。

 ただ、ソ連時代を知る人によると、かつてのロシア女性はメークが下手で、あまり美しいとはいえない状況だったという。化粧品業界で働いて30年というエレナさん(56)は「ペレストロイカ(1980年代後半の改革運動)の前は物不足で、だいたい持ち物はみんな一緒。知識も少なく、とにかく濃い化粧をしていた」と振り返った。

 ソ連時代は口紅やアイシャドーなど各化粧品ごとに選択肢は1~3種類。新しい化粧品が入ると店には大行列ができ、みな同じ化粧品を手にした。なかには卵白などを使った自作の化粧品を作る人や独自に海外から手に入れる人もいたが、基本は青々としたアイライナーで目元を強調し、口紅は真っ赤。とにかく濃く、鮮やかにすることが美しいとされていたという。

 潮目が変わったのは、ソ連崩壊後。海外の商品が国内に入ってきて、化粧法などの情報も増えた。エレナさんは「化粧品の種類は一気に100倍くらいに増えました」。メークに多様性が生まれ、持って生まれた“素材”を生かす、現在のシンプルな化粧法が主流となっていったという。

 「いつの時代もどの国でも、女性はみな美しくありたいもの。でも今も昔も、ロシアの女性が1番よ」とエレナさん。1次リーグも佳境に入ってきたW杯。試合中はピッチのプレーに、試合が終わればスタンド、街のロシア美女に…視線はくぎ付けだ。【太田皐介】