6日に死刑が執行されたオウム真理教の松本智津夫元死刑囚(執行時63=教祖名麻原彰晃)の四女(29)が9日夜、滝本太郎弁護士(61)のブログを通じて、元死刑囚の遺骨を受け入れる意向を示した。

 四女が信者らに伝えたい文章として、「信者さんらへ」と題したブログを更新。「松本元死刑囚の最後の言葉の件につきましては、指名を受けた私自身が大変驚きました。しかし、それは実父の最後のメッセージなのではないかと受け入れることにします」。元死刑囚は6日の執行直前、東京拘置所の職員に自身の遺体を四女に引き渡すよう伝えていた。

 引き渡しを要求している妻(59)側は、松本元死刑囚との意思疎通は困難で、「特定の人を指定することはあり得ない」と主張している。ブログでは「捏造(ねつぞう)などではあり得ません。現に聖人化される恐れがあっても遠藤元死刑囚の遺体は教団に渡りました。私は自分が他の親族に比べて実父から愛されたとは最後の言葉を踏まえても思いません。ですが、かなり信頼してくれていたのかもしれないというのは思い当たる節があります。実は知る限り彼と最後に接見できたのは私だったからです」と明かしている。

 松本元死刑囚には元教団幹部の妻との間に2男4女がいる。四女は実母、長女以外の姉弟と、信者たちへのメッセージとして、「どうか松本元死刑囚の最後の意向を尊重してやっていただけませんか。彼は自分で始めたことの幕引きをもはや一人ではできなくなってしまったのです。自分の真意を伝えるのが苦手なのもあると思いますが、あまりに事が大きくなりすぎました。もう麻原教祖に依存するのは終わりにしませんか。支配されるのは終わりにしませんか。松本元死刑囚のためでもあり、また信者も1人1人の人生を生きるためにです」。

 心配されている報復・奪還テロなどについても警告し、「もうオウムを終わりにしませんか。社会を憎むのは終わりにしませんか。そして、改めて自分の人生を始めてみませんか。残された者が生きて自分と周りを幸せにするのが死者への最大の供養になるはずです。どうかお願いします」とブログを締めくくった。

 四女は昨年11月、両親と縁を切る目的で、自分の相続人から両親を除くよう横浜地裁に申し立て、認められたとして東京都内で会見。「家族や元信者とも連絡を取っていない」と強調していた。