昆虫の世界を紹介する、特別展「昆虫」が13日から東京・上野の国立科学博物館で始まった。同館の特別展としては初の試みだ。約5万点の標本だけでなく、生態や能力などが分かりやすく展示・紹介されている。

 昆虫の神秘が最新技術で明らかにされた。特別展「昆虫」は、「昆虫とは何か」「多様性」「生態」「能力」「研究」の5つのパートに分かれている。地方の博物館などで、所蔵している標本を通常展示するものは、いくらでもある。こちらは、全世界から収集した標本の量だけではなく、展示方法もかつてないほど充実している。

 「今まで昆虫というカテゴリーをひとくくりにするには、多種多彩すぎました。研究開発が進んだのと、見せる技術の進歩で、昆虫を科学して見せられるようになったのが大きい」。監修に携わった国立科学博物館の井手竜也研究員(31)は、こう説明する。

 入るといきなり2メートル近いハチ、クワガタなどの巨大模型が目に飛び込んでくる。触覚、羽根など細部にわたるまで忠実に作り込まれている。さらに自然環境に合わせ、天敵から身を守るために覚えた「擬態」などのしたたかさも分かる。体の構造も360度回転画像で明らかになる。その能力には驚かされるばかりだ。

 しかも、世界に1点しかないヤンバルテナガコガネの貴重な標本、マダガスカルで発見された未記載種の1・5ミリサイズの青く輝くボディーのハチなど、ここでしかお目にかかれない展示もある。「親子で楽しんでほしい」(井手研究員)。

 今回のオフィシャルサポーターで、NHK・Eテレ「香川照之の昆虫すごいぜ!」にも出演している俳優香川照之は、こんなメッセージを寄せている。「人間にとって、昆虫は人生の先輩だと思います。人間と同じような集団での社会生活を、昆虫は何億年も前から行っています。たくさんの昆虫に触れ、その生命力や、ボディーの美しさを感じてください」。

 国立科学博物館の夏の特別展として、2015年の「生命大躍進」、16年「海のハンター展」、17年「深海2017」と、いずれも好評を博している。昆虫も知的興味がそそられる。