「一寸先は闇」といわれる政界で、大物政治家2人が、過去の恩讐(おんしゅう)を越えて異色のタッグを結成した。自由党の小沢一郎共同代表(76)が主催する政治塾が15日、都内で開かれ、かつて敵対した小泉純一郎元首相(76)が特別講演を行った。

 小泉氏が、93年に自民党を離党した小沢氏と良好な形で交わるのは30年ぶり。今はともに安倍晋三首相と距離を置き、安倍政権の原発推進を批判して「原発ゼロ&脱原発」を主張している。6月の新潟県知事選で、小沢氏支援の野党候補を小泉氏が激励した縁で、講演が実現。小泉氏は「小沢さんからこんな話がくるとは、夢にも思わなかった」と話す。

 小泉氏は講演で、海部内閣時代に自民党幹事長だった小沢氏から党全国組織委員長に指名され、ともに全国を回った思い出を披露。「小沢さんとは、味方になったり敵になったりしたが、政界は敵と味方はしょっちゅう入れ替わる。わだかまりはない」と強調した。

 安倍1強が続く中、ときに非情といわれた元首相と「政界の壊し屋」の合体。講演後は2人で取材に応じ、報道陣の求めに、握手まで交わした。小沢氏は「しばらくぶりに小泉節を聞いた。総理総裁をなさった方が原発ゼロを国民に訴えるのは、大変心強い」。小泉氏も「原発ゼロに与党も野党も、保守も革新もない」と訴えた。2人はこの後、サシで会食。原発ゼロを旗印として、来年の参院選を視野に打倒安倍政権に向けた「国民運動」に動き始めた、純一郎&一郎のコンビ。永田町にもたらす反響は、半端ない。【中山知子】