サッカー・ワールドカップ(W杯)ロシア大会でのフランス優勝を受け、パリ・シャンゼリゼ通りでは100万人に上る群衆が通りを埋め尽くし「リベルテ、エガリテ、エムバペ!」と歓声を上げた。18世紀のフランス革命以来、国民が掲げ続けた「自由(リベルテ)平等(エガリテ)博愛(フラテルニテ)」の標語をもじり、父がカメルーン、母がアルジェリア出身のFWエムバペをたたえた。

 凱旋(がいせん)門が国旗のトリコロール(青白赤)にライトアップされる中、一方では群衆の一部が暴徒化。商店のガラスを割り、酒を略奪する事態となった。機動隊が催涙ガスで対応し、負傷者や逮捕者も出た。東部アヌシーでは、20年ぶりの優勝を喜び、運河に飛び込んだ男性が死亡。南東部リヨンでも約2万人が観戦した中心部の広場で一部サポーターが火炎瓶を投げ、機動隊が出動した。

 98年W杯フランス大会で優勝したフランス代表も、アルジェリア系のMFジダン中心の移民系チーム。リベラシオン紙は社説で「20年前は移住先にフランスを『選んだ』移民らの素朴な喜びがあった」とし、今回は「苦難を『耐え抜いた』感動を国民が分かち合っている」と評した。