最高額は30万円、最も安いのは2500円-。2020年東京オリンピック(五輪)・パラリンピック組織委員会は20日、五輪入場券の概要を発表した。来春販売開始予定のチケットは開閉会式が1万2000円から30万円、競技は2500円から13万円。価格は競技別に細かく設定され、人気競技ほど高額になった。820億円の収入見込みは変わらないが、全体の半分以上は8000円以下。多くの人の観戦機会を確保して、全会場超満員を目指す。

 「記録には風とか気温とかが関係しますが、最後は空気感。観客の声援で記録が出ることが多いです」。公式サイトでのチケット購入に必要な「TOKYO 2020 ID」登録キャンペーンに出席した陸上短距離の藤光謙司は、超満員のスタンドを期待して話した。18日の競技日程大枠に続いて発表された入場券価格。五輪を目指す選手の目も、本番に向けて輝いた。

 価格設定には、競技の人気度が表れた。最も高額なのは陸上で13万円。藤光も目指す「五輪の華」男子100メートル決勝の日が想定されている。続くのは陸上と並ぶ「華」競泳と、NBAのトップ選手による米ドリームチーム結成が期待されるバスケットボールで10万8000円。3競技で10万円以上が設定された。

 日本で人気の体操、サッカー、野球も高額。日本勢の活躍が期待される柔道やレスリング、卓球などは12年ロンドン大会、16年リオデジャネイロ大会よりも高めになった。逆に近代5種は2500円~4000円と安価な設定。全競技で最低価格が4000円以下に抑えられるなど、観戦しやすさも考慮されている。大会招致段階の計画では五輪の総チケット数は780万枚。今後概要が発表されるパラリンピックと合わせて合計1010万枚で820億円の収益を見込む。この日、概要を発表した組織委員会の古宮正章副事務総長は「目標はフルスタジアム。すべてのチケットが売り切れることです」と力強く話していた。【荻島弘一】