20年東京オリンピック(五輪)・パラリンピック開閉会式を演出する総合統括に、狂言師の野村萬斎(52)が就任した。福島県のJヴィレッジ(広野・楢葉町)で30日に開かれた大会組織委員会の理事会で承認された。五輪統括には映画監督の山崎貴氏(54)、パラ統括には広告クリエーティブディレクターの佐々木宏氏(63)が就任。五輪は野村と山崎氏、パラは野村と佐々木氏が中心に演出企画を制作する。

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 8人は昨年12月に選ばれた「4式典総合プランニングチーム」と全く同じ。起承転結で4式典を貫く基本プランを練る役割だった。この時点で組織委は「各式典の演出家、監督ではない」とし「夏発表」とした演出家は8人以外から選ぶ可能性を強調していた。

 実際に外部演出家の調査も行ったが結局8人から選出。中井氏は「平昌(ピョンチャン)大会の視察にも行き、ここまで式典について考えてくれた人は他にいない」と理由を語った。しかし、同メンバーが外部人材よりも傾倒できるのは当初から分かっていたはず。大会関係者からも「なぜ8人から選んだのか」という声も聞こえた。

 不透明な選考と盗作疑惑で白紙撤回となった最初のエンブレムの反省を生かし、現在のエンブレム、マスコット選考は徹底して透明性を確保。「人事なので全て報告するのは難しかった」(組織委担当者)と言うように、それらと単純比較はできないが今回の選考過程は見えにくい。ある関係者は「世間からエンブレムと同じような批判が上がらないか心配」と言い、他の関係者も「五輪は誰だってやりたいし、8人の中でも『自分が』という主張もあったみたい。8人を決めた時点で演出家は外部というのは難しかっただろう」。実際、誰もが知る有名演出家の売り込みも複数あったが“入閣”は難しかった。

 「公募も検討したが、業界的にそれは難しいと言われた」と担当者。総合監督を置かなかった理由について「絶対的な人がいなかったので日本らしいチームワークにした」と語った。