自民党の石破茂元幹事長は10日、国会内で会見し、党総裁選(9月7日告示、20日投開票予定)への出馬を正式に表明した。

 3度目となる総裁選のキャッチフレーズは「正直、公正、石破茂」。「現政権にあれこれ言うのは控えたい」としながらも「今起きている事象に、国民が本当かと思いを持っているのは事実。政権は正直、公正と思ってもらわないと政治は役割を果たせない」とチクリ。モリカケ問題など不祥事続きの安倍政権に皮肉にもとれる言葉を並べ、安倍晋三首相の手法との差別化を目指す考えを強調した。

 官邸の信頼回復へ、「政治・行政の信頼回復100日プラン」の作成も表明した。「人間には間違いや失敗もあるが謙虚に認め、おわびする姿勢が必要。間違っていない、自分に責任はない、は私の手法ではない。おわびすべきはおわびし、官僚組織に責任転嫁しない。そう心がけている」と、政治が責任を取らない安倍官邸を疑問視。「己に厳しく、他人に寛容なのが保守の神髄と先輩に教わった」とまで述べた。首相がこだわる憲法改正でも、9条改正より緊急事態条項や参院合区解消を優先すべきと、認識の違いをみせた。

 国会議員票では、石破派と参院竹下派の計約45人の支持のみ。首相は7割を押さえ、劣勢は明らかだ。石破氏は「『石破支持なら冷や飯、冷遇』といわれる中の支持。これほどありがたいことはない」と、参院竹下派に謝意。理想の総理像でも、真っ先に竹下登元首相の名を挙げた。その上で態度未定議員や党員だけでなく、国民的関心を集める戦い方に意欲を示した。

 「わが党支持の方でなくても理解を得られる努力をしたい。国民の評価が党員の評価につながる」。劣勢でも人気の田中真紀子氏を援軍に、地滑り的勝利をおさめた小泉純一郎氏が念頭にあるようだ。次男の小泉進次郎筆頭副幹事長が、今回の鍵を握る。石破氏は「誠心誠意お願いする。選挙はやってみないと分からない。いささかでも努力を怠らない。その結果が選挙だ」と訴えた。【中山知子】