安倍晋三首相は11日、地元の山口県に入った。自民党山口県連が山口市で開いた会合に出席し、場内から党総裁選(9月7日告示、20日投開票予定)の正式出馬表明への待望ムードがあふれる中、「今日は出馬を前提に、話をさせていただいた。6年前に(総裁選に)出た時の、あの志はみじんも変わっていない」と述べ、強いトーンで3選への意欲をにじませた。

 会合は本来、総裁3選への決起集会のはずだったが、首相の出馬表明がずれ込んでいるため「首相を囲む会」に変更。首相は、アベノミクスなど第2次政権で取り組んだテーマの実績を強調し、持論の憲法改正にも触れ、「いよいよ取り組む時を迎えた。教科書には自衛隊違憲論の記述が書かれており、この状況に終止符を打つ大きな責任がある。自民党の責任だ」と述べ、9条改憲の必要性を訴えた。

 一方で、一騎打ち濃厚の石破茂元幹事長を意識した発言も。石破氏は10日、「正直、公正、石破茂」と、昨今の首相の政治姿勢を皮肉るようなキャッチフレーズを発表したが、首相は同郷の河村建夫衆院予算委員長について触れた際「まさに『公正、公平』な判断をいただいている」と発言。会場では笑いが起きた。

 自身の出馬表明の時期については、吉田松陰の「志定まれば、気盛んなり」を引用しながら、「志を支える気力や体力が十分か、自分に問いながら最終的判断をしたい」として、先送り。「長州出身の政治家として正しい判断をし、皆さんと頑張りたい」と強調、会場はガンバローコールで盛り上がり、事実上、決起大会の様相をみせた。首相の出馬表明は今月下旬以降とみられる。【中山知子】