第100回全国高校野球選手権大会の決勝で、金足農(秋田)が大阪桐蔭(北大阪)に2-13で完敗し、初優勝はならなかった。

 日本唯一の日刊農業紙として、金足農の奮闘を連日報じてきた日本農業新聞は21日、「金農 殊勲の準優勝 感動ありがとう」とした号外(PDF版)をホームページに掲載した。同紙の号外発行は、TPP交渉の節目など農業関連の重要案件がほとんどで、高校野球の結果が号外になるのは極めて異例という。

 農政経済部次長の福井達之デスクは、「TPPに匹敵する話題。結果としては残念ですが、農業や農業高校の魅力を全国に広めてくれた。私たちの方が感謝しています」と、金農ナインの奮闘をねぎらった。

 同紙では、高校野球の報道自体が異例だった。農業に関する報道がメインでスポーツ面はなく、甲子園で高校野球を本格的に取材したのは、今大会が初めて。大阪支所の記者が1人で対応し、躍進が始まると、秋田にも記者を派遣。「金農野球を支える農業」という農業新聞らしい独自の視点に、こだわった。

 34年ぶりの4強進出が決まると、初めて1面で報じた。県勢として103年ぶりの決勝進出はこの日、1面だけでなく「総合・社会面」も使って、大展開した。福井デスクは「結果として、農業新聞をあらためて知ってもらえるきっかけにもなったと思う」。社会現象を巻き起こした金農の「その後」も、当面は追うことになりそうだ。