将棋の藤井聡太七段(16)が17日、大阪市の関西将棋会館で指された第49期新人王戦決勝3番勝負の第2局でプロ棋士養成機関、奨励会の出口若武三段(23)を破り2連勝で、同棋戦の最年少記録を31年ぶりに更新する16歳2カ月で優勝した。将棋界は「羽生1強」が崩れ、8大タイトルを7人が分け合う「戦国時代」に突入。つぎの藤井の目標は、最年少での8大タイトルへの挑戦だ。

<群雄割拠の将棋界>

羽生竜王らが長く複数タイトルを保持してきたが、近年は若手が台頭、世代交代が進む。将棋界のタイトルは58年に王座戦が昇格して7大タイトル制になり、昨年、叡王(えいおう)戦が加わって8大タイトル制となった。現在、8つのタイトルは7人が分け合う。王位と棋聖の2冠を保持するのは豊島将之棋聖だけ。

羽生竜王は91年以降、常にタイトルを保持し続け、96年には7冠独占を達成。近年は「羽生1強」から勢力図が変わってきた。現在、タイトルを狙う先頭集団には羽生をはじめ、佐藤康光九段らの「羽生世代」を中心とする「40歳代ベテラン」、棋士として指し盛りといわれる「30歳代」の佐藤天彦名人、渡辺明棋王、中村太地王座らがいる。ここに糸谷哲郎八段、豊島将之棋聖ら20歳代後半が中心の「関西グループ」がいる。先頭集団に猛烈な勢いで迫るのが10代の藤井だ。若手からベテランまで層が厚く「群雄割拠」と言われる。