豊洲市場(東京都江東区)への引っ越し調整期間を17日に終え、完全に閉場された築地市場(中央区)で18日、解体工事に反対する水産仲卸業者や支援者の買い物客ら50人ほどが、制止する東京都職員らを振り切り、場内に立ち入る騒動が起きた。

移転反対派が「営業できるんだから買い物する権利はある。市場に入れろ!」と言えば、都職員が「築地市場は閉場しています。市場使用許可は豊洲にあります」と説明を繰り返した。

築地市場にある5つの門は完全閉鎖された上、都職員や警備員が配備されたが、解体工事の反対派は青果門横の環状2号線工事現場から入り、フェンスを乗り越えて、立ち入った。警備員らが手をつなぎバリケードをつくるも、押し問答を繰り返し、約30分後、突破した。

この日、築地の水産仲卸売り場1店舗を使い、4業者が協力して営業した。銀鮭の西京漬を240パック売り、30分ほどで売り切れたという。その1つ「堀富水産」の堀江周司さん(69)は「豊洲は汚染物質があり、くい打ちも満足ではない。いつ営業できなくなるか分からない。築地を残しておかないと帰るところがなくなる」と、築地で営業する理由を語った。

築地にもまだ冷蔵庫や水槽を残している。豊洲でも仲卸を営業し、その合間に自転車で移動し、築地での営業終了後は豊洲での業務に戻った。

反対派によると今日19日以降も仲卸8業者が日々、交代で営業を続けるという。都は営業権を豊洲に移し、築地は閉場したとの立場だが、反対派は閉場に必要な手続きが未了で、法的に営業権はあると主張。一方、都関係者は「明らかに不法侵入だ」と述べた。【三須一紀】