東京都の小池百合子知事は22日の会見で、日産自動車の有価証券報告書に報酬を約50億円少なく記載したとして、金融商品取引法違反の疑いで、代表取締役会長カルロス・ゴーン容疑者が逮捕された問題について「大変残念です」と述べた上で、今回の件が日本経済に及ぼす影響を懸念していることを明らかにした。

小池氏は、ゴーン容疑者が会長兼CEOを務めるルノーで、かつて社外取締役を務めた。ゴーン容疑者について「何カ国語も操り、3つの企業(ルノー、日産、三菱自動車)をまとめ、大変な業績を残した。経営者としては大変優秀な方」と手腕を評価した上で、「重大な不正行為があったとの発表は、大変残念だ。内部調査の進展を見守りたい」と述べた。

その上で「自動車業界は、生き馬の目を抜く業界。車のエンジンが、モーターや燃料電池に変わろうとしている、産業革命以来の大きな変化の時に、今回の件が日本経済にどういう影響を及ぼすのか、大変懸念している」と主張した。

今回の逮捕劇をめぐっては、ゴーン容疑者1人に権限が集中したことの弊害が指摘されている。自身も、知事として権限が集中する立場にあるため、見解を求められたが「そこは難しい。権限の集中をリーダーシップというのか、ネガティブなのか。どうとらえるのか」と述べるにとどめた。

小池氏とゴーン容疑者は、21日に、日産の主催するイベントで「アーバンモビリティの未来に向けて」をテーマに対談する予定だったが、逮捕を受けて中止になった。