日本大学は12日、高山忠利医学部長らが都内で会見し、16年から18年の3年間、医学部一般入試による追加合格を決める際に、卒業生の子女を計18人、不当に優遇して入学させていたことを明かし、「社会の皆様の信頼を損なう」として謝罪した。文科省の医学部入試緊急調査で、不適切と指摘された。

この影響で不合格になった18人のうち、17年の8人と18年の2人の計10人(男子8人、女子2人)については希望した場合、来春の入学が認められる。しかし、この分の人数は、当初の来春の募集人員から減らされる方向で、来年の受験生にも影響が出そうだ。16年分の8人は、今後対応を検討する。不当に優遇されて入学した17年、18年の10人分について、大学側は「(成績が)極めて合格から遠かったのではなく、現時点では現状維持」とした。

高山氏は、3年前の自身の医学部長就任後に、OB子女の優遇措置を「初めて知った」と述べた。対象の受験生は同窓会から提出されたリストにピックアップされ、成績がより合格ラインに近い子女を選び、合格させたという。いつから始まったかとの問いには、「特定できない」と明言しなかった。「いわゆる『裏口入学』ではない」とし、性別や年齢による差別も否定。今後は、同窓会からのリストは受けないという。

優遇した理由について大学側は、入学辞退者が多いことや、文科省が求める定員の厳格化を挙げ「ある程度、早めに入学定員を確保したかった」と説明。「愛校心の強い卒業生の子女なら、大学の教育への理解があり、勉学意欲が高いと考えた」とも述べた。「同窓会の子女の方を合格させた方が、大学に貢献すると思ったのか」と問われた高山氏は「そういう側面は否定しない」と述べた。「当初は不適切ではないと考えた。文科省の指導で考えを改めた」と明かす一方、後ろめたさはあったかと問われ「はい」と認めた。

アメフット部の悪質タックルに続く不祥事となったことへの感想を問う質問が出たが、司会者が「本日は医学部入試に関すること」と質疑に割り込み、答えなかった。大学側は、第三者委員会を設置にも消極的で、「検討したい」と述べるにとどめた。

一方、聖マリアンナ医科大(川崎市)も、文科省から男子や現役生を優遇していた疑いを指摘されたと発表したが、大学側は否定している。