大阪府警富田林署で8月、拘留中の樋田淳也容疑者(30=建造物等以外放火などの疑いで再逮捕)が逃走した事件で、当時の留置担当だった巡査部長が、内規で禁止されているスマートフォンを留置場に持ち込んだ揚げ句、逃走発覚までの間にアダルト動画を閲覧していたことが13日、分かった。

巡査部長は、樋田容疑者が逃走した8月12日午後9時ごろから約40分間、スマホを持ち込んでアダルト動画や野球のニュースを見ており、逃走に気付いたのは午後9時45分ごろだったという。府警は10月、当該巡査部長ら7人を留置管理の不備で逃走を招いたと懲戒処分にしたが、巡査部長がスマホを持ち込みニュースを見たことは明らかにした一方、アダルト動画の閲覧は公表しなかった。

大阪府警の関係者は、日刊スポーツの取材に「本人が(アダルト動画を見たと)供述したのは事実」と認めた。一方、巡査部長を懲戒処分にした際、アダルト動画の閲覧をした件を公表しなかったことについては「スマホを留置場に持ち込んだ行為に対しての処分で、何を見たから重くなるということではない。隠したわけではない。持ち込んだことへの処分」などと説明。アダルト動画を閲覧したことは処分の対象ではないため、公表しなかったことを繰り返し強調した。

樋田容疑者は9月29日、富田林市から約352キロ離れた山口県周南市の道の駅で窃盗容疑で現行犯逮捕されるまで、約1カ月半も逃亡を続けた。その中で、同容疑者が富田林署の面会室のアクリル板を壊して逃走した際、人の出入りを知らせるブザーの電池が抜いたままだったこと、同署が富田林市に注意喚起を要請したのが事件把握から約16時間後だったことなど、府警の度重なる不手際が明らかになり、問題視されていた。

留置担当がアダルト動画を見ている最中に容疑者が逃亡したという、あり得ない不手際の露見に、批判の高まりは避けられない状況だが、同署関係者は、「特にお答えすることはありません」と答えた。