東名高速道路で17年6月に、あおり運転を受けて無理やり停車させられた萩山嘉久さん(当時45)、友香さん(同39)夫婦が、別のトラックに追突されて死亡した事故で、自動車運転処罰法違反(危険運転致死傷)罪などに問われた石橋和歩被告(26)の裁判員裁判(深沢茂之裁判長)の判決公判が14日、横浜地裁で開かれ、懲役18年が言い渡された。横浜地裁は、自動車運転処罰法の危険運転致死傷罪が成立すると認めた。

石橋被告の弁護人2人が判決公判後、取材に応じ、同被告について「淡々としている」「感情がないような方」と語った。また「自分がどのような言動を取ったら相手がどう思うか、想像力が足りないところがある」部分が、今回の事故を引き起こした要因だと分析した。

弁護人は、報道陣から石橋被告の人柄について聞かれ「いつもは接見の際、淡々としている」と感情の起伏が少ないと指摘。公判中に特に大きな変化があったかについては「正直、感じていない」と答えた。

一方で、5日の第3回公判で行われた被告人質問で、路上で萩山さんの車を停車させて暴行を加えた際、当時の交際相手から「子どもがいるからやめておけ」と言われ、萩山さんの手を離した理由を聞かれた同被告が涙を流したことについて「公判前の接見では、特に感情を出すことは私の記憶ではなかった。そういった意味では、被告人なりに今回の件に関して、有り体の言葉で言えば、反省や謝罪の気持ちはあるんだろうと感じ取った」と語った。もう1人の弁護士も「正直、私たちも驚いた」と振り返った。

公判中の態度から反省が足りないとの報道が出ている上、判決文でも「反省の弁を述べているが、真摯(しんし)に反省しているとまでは評価していない」と厳しく切り捨てられた。その点について聞かれると、弁護人は「被告人質問中にに泣きだしたり、弁護人として感じ受けることはあった。全く反省していないことはない」と明言した。一方で「東名高速事件もさることながら、その後の強要未遂事件を起こしたり、取り調べでウソをついたりとか…そういったところで被告人にとっては、反省したかどうかの点では不利に働いても仕方ない。法廷での態度もあると思うが、もし本当に反省している人であれば、警察から聞かれた時に正直に話すだろうし、本当に悪いことだと分かっていれば繰り返さない。ただ、そういったようなことは残念ながらなかったのが、影響しているのかなと」と語った。

判決後の石橋被告の様子については「少なくともパニックになったり、取り乱す感じではない。通常の受け答えはしておりました」と明かした。【村上幸将】