東京都立町田総合高校で、生活指導を担当する50代男性教師が15日に男子生徒の顔を右手で殴った問題で、学校側が当該教師について生徒への対応はしない措置をしている一方、殴られた男子生徒を含め生徒たちへの指導、ケアを始めていることが23日、分かった。

同校の関係者によると、教師が生徒を殴ったのは15日午前11時ごろ。直後に教師と生徒の双方から信岡新吾校長に報告がなされたが、同日中に生徒を殴る模様を収録した10秒強の動画がツイッターを通じてインターネット上に流れ、教師が生徒を殴ったこと、生徒の粗暴な言動の双方に批判が集まった。18日には、撮影した生徒のものとみられる「ツイッターで炎上させよう」という声が入った、騒動の前段から撮影された1分強の動画がツイッター上に流れると、生徒が仕組んだものではないか、などの声もあり世論は過熱した。

同校関係者によると、当該教師が数カ月前に当該生徒を含む数名に生活指導をした後、同生徒がいない場所で別な生徒と話す中で、当該生徒ついて配慮を欠いた発言をしたことが今回の騒動の発端という。当該生徒が問題当日、そのことを他の生徒から聞き、激高して詰め寄った結果、いざこざに発展し、教師が手を出してしまったという。

信岡校長は23日、日刊スポーツの取材に応じ「(殴った)教師は暴力的などではなく、過去10年の勤務を見ても暴力はない。生徒との距離感が近いところはあるが、親身になって指導しているし、問題教師などではないが、殴ったことは良くない」と語った。

一方で、殴られた生徒や、動画をツイッターに投稿した生徒をはじめ、在校生への指導とケアに着手していると明らかにした。通常、生徒が校内で問題を起こした場合は教師が指導し、その上で生徒の処分が必要であれば、その権限は学校長にある。同校長は「(生徒の言動で)おかしいことは、おかしいし、指導すべきことは指導します」と一般論として語った。

その上で今回、動画がツイッターを通じてインターネット上に拡散したことで、殴られた生徒や動画を登校した生徒の名前や写真なども一部で流れ、ネット上で炎上している状況があり、動画を投稿した生徒も含め、騒動に関係した生徒をはじめとした在校生の心のケアに慎重に取り組んでいるという。同校長は「SNSで炎上しており、生徒への指導と並行し、心のケアもしなければいけない。既に着手しています」と語った。