安倍晋三首相は10日、都内のホテルで開かれた自民党大会で演説し、春の統一地方選と夏の参院選が重なる「亥(い)年」選挙を前に、前回の亥年選挙で参院選に敗北した経緯に触れ、「(その後)あの悪夢のような民主党政権が誕生した。あの時代に戻すわけにはいかない」と、強い口調で呼びかけた。

首相は、第1次安倍政権の時に行われた12年前の亥年選挙を振り返り、「参院選の惨敗は当時総裁だった私の責任。片時たりとも忘れたことはない。わが党の敗北で政治は安定を失い、決められない政治となり、経済も失速した」と指摘した。「(今回も)厳しい戦いになるが、まなじりを決して戦い抜く。その先頭に立つ決意だ」と述べ、統一地方選についても「力を合わせて勝ち抜こう」と訴えた。

野党が「アベノミクス偽装」などと批判している毎月勤労統計の不正については「しっかり徹底的に検証し、再発防止に全力を尽くすことで責任を果たしていく」と短く触れただけ。児童虐待については「いまこの瞬間も、虐待が行われているかもしれないという危機感を持ち、根絶に政府を挙げて全力で取り組む」と述べた。

持論の憲法改正に関しては「いよいよ立党以来の悲願である憲法改正に取り組むときが来た」と声を張り上げ、「憲法にしっかりと自衛隊を明記して、違憲論争に終止符を打とうではないか」と、9条改正実現に意欲を示した。