「憲法の番人」と呼ばれる内閣法制局の横畠裕介長官が6日の参院予算委員会で、野党議員の質問に対する答弁で、相手の言動を批判するような発言をした。「越権だ」と猛反発を受けた横畠氏は、謝罪に追い込まれた。

特に政治的な中立性が求められる法制担当のトップ官僚が、政治的な発言をするのは極めて異例。野党は、安倍内閣のもとで起きた官僚の「国会軽視発言」と問題視。今後、深刻な問題に発展する可能性もある。

質問したのは、立憲民主党会派の小西洋之氏。安倍晋三首相の答弁姿勢について「時間稼ぎ」だとして「国会と国民への冒涜(ぼうとく)だ。聞かれたことにだけ、堂々と答えなさい」などと、声を荒らげた。与党側が質問内容を問題視したため、小西氏は横畠氏に対し、憲法に基づき、行政府を監視する立法府の国会議員の役割を質問。すると横畠氏は「立法機関としての作用はあるが、このような場で声を荒らげて発言することまで含むとは考えていません」と、小西氏の言動を批判した。

これに、小西氏や野党が「越権(の発言)だ」と猛反発し、審議はストップ。横畠氏は「委員会で判断すべき事柄を評価したことは、越権だった」「おわびして撤回します」と発言を撤回した。

横畠氏は、14年5月に長官に就任。首相が進めた集団的自衛権行使を可能とする同年7月の閣議決定を容認し、歴代の内閣法制局長官とは異なる対応として、批判されたこともある。