14回目の立候補となった東京・港区議会選挙で、悲願の初当選を果たしたマック赤坂氏(70)が一夜明けた22日、港区役所で当選証書を手にした。

07年に初出馬した同区議選が最後と、覚悟を決めて出馬し当選。当選証書を見詰め「精査して…本物なら、うれしい」と半信半疑の様子だった。

街頭で「スマイル!」と叫び、政見放送ではコスプレで笑いを取り、渋谷では踊り…泡沫(ほうまつ)候補の代表格に挙げられ続けた赤坂氏が議員になった。「一応、当選というものを持って棺おけに入ることが出来る」と笑った。

5月8日の初登庁からコスプレするかと聞かれ、「するんだったらスーパーマン」と1度は答えた。だが「議長裁決みたいなので議員辞職案を出される可能性がある。せっかく当選したのに初登庁を終えて議員辞職になりかねない。無難にスーツとネクタイで行こうかな」と苦笑した。

「泡沫」と呼ばれるのは嫌だったが「1ジャンル」と腹をくくったパフォーマンスは選挙のたびに話題を呼ぶも、初当選が決まるまでは12年間で13連敗。17年の都議選に落選後、政策を有権者に伝え切れていないと反省したことを生かした「どぶ板選挙」で区民との対話を増やした。「顔が見える区政にして」と声をかけられるなど心をつかんだのが勝因だと分析した。

当選後、同じように泡沫候補と呼ばれ、過去4度の国政選挙でも戦い、昨年7月に亡くなった「又吉イエス」こと又吉光雄(またよし・みつお)さんに思いをはせた。「ポスターに過激なことを書かれたこともあるけど、尊敬する泡沫候補の定義みたいな人で、失ったのは残念。墓前が分かったら報告したい」と、しみじみ語った。【村上幸将】

◆マック赤坂(まっく・あかさか=本名戸並誠)1948年(昭23)9月18日、名古屋市生まれ。愛知県立瑞陵高から京大農学部に進みバイオ研究に取り組む。伊藤忠商事に入社後、レアメタル(希少金属)に携わり48歳で独立し貿易会社を設立。06年に日本スマイル党を結成。政見放送ではスーパーマンや天使、宇宙人などのコスプレが恒例。マック赤坂の由来は本名の誠と好きな町の赤坂から。