埼玉県加須消防署は6日、加須市内の民家で起きた火事をいち早く飼い主に知らせて一家4人を救い、被害を最小限にとどめたお手柄の2匹の犬に感謝状を贈った。

感謝状が贈られたのは、ポメラニアンのマロン(オス10歳)とあずき(メス4歳)。2匹は激しくほえて就寝中の飼い主を起こし、異変を知らせた。

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お手柄のマロンとあずきは6日、加須消防署から感謝状とドッグフード3袋を贈られ、涼しい顔で記念撮影に応じた。飼い主の橋本知代子(54)さんは「ワンちゃんなのに表彰していただいて、ありがたいなと思っています」と恐縮した。

橋本さんの自宅で火事が起きたのは4月20日未明。夫と自宅の離れで就寝中だった。隣の部屋にいた2匹が激しくほえる声で目覚めたのは午前0時50分過ぎ。もともと臆病な性格な2匹は物音や人の声に敏感で、この日も雷にそろってほえていたという。「私たちを起こそうと思ったのか火事に驚いたのか分かりませんが、すごいほえ方で。それで目を覚ますと少し焦げ臭く、とび起きて窓を見ると明るく見えたので、すぐに火事だと分かりました」。

外のテラスのひさしが燃えているのが分かり、橋本さんが2匹を抱きかかえ、家族4人で屋外に避難。とび起きてから10分以内に夫が110番通報した。2匹は事態がいったん落ち着くまで、橋本さんの車の中で待機した。

加須消防署によると、母屋と離れ2つで計300m2以上のうち、橋本さん夫妻と2匹がいた離れ約40m2が全焼したが、火事発見が早かったため、被害は最小限にとどまったという。橋本さんは「気付くのが遅れていたら、煙に巻かれていたと思う」と振り返った。

橋本さんはご褒美に、2匹が好きな犬用クッキーをあげたという。「今までお手柄は特にない」とした上で「人の声に反応して、いつもやたら鳴いているだけではないですね。今回はよくやってくれた。助けてもらいました」と感謝した。【近藤由美子】

 

◆ポメラニアン 原産はドイツ。東欧のポメラニア地方で小型化が進み、18世紀以降、英国で流行。ビクトリア女王の愛犬として知られる。性格は注意深く、活発で主人に対して格別な忠誠心を持つ。体高20センチ前後、体重2キロ前後