第25回参院選は20日、選挙戦最終日を迎え、各党党首、候補者は最後のお願いに声をからした。「ヤジ対策」から、演説会場の情報が事前にほとんど公開されない「ステルス」遊説が続いた安倍晋三首相は、選挙遊説の聖地で、鬼門でもある東京・秋葉原でフィナーレ。声援と怒号が飛び交った。既成政党への不信感から、口コミで有権者の支持を増やした政治団体「れいわ新選組」の山本太郎代表は新宿で選挙戦を打ち上げた。

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首相は20日、秋田、千葉、埼玉から東京に戻り、選挙遊説の定番・秋葉原に登場した。12年衆院選以降、連勝する国政選挙で必ず訪れる「聖地」だが、17年都議選の応援で自身に批判的なやじに反応して批判を浴びた「鬼門」。昨年の党総裁選最終日同様に、やじや怒号が飛びかった。

自民党はこの日、批判的な声を警戒し、大規模な動員を敢行。胸にシールをつけ、日の丸を手にした「支持派」で周囲をがっちり固め、選挙カー周辺は鉄柵でガードした。その外側で「安倍辞めろ」とやじが連呼された。森友学園の籠池泰典前理事長夫妻の姿もあったが、大きなスピーカーが設置され、首相も声を振り絞り“対抗”。警官の姿も、いつも以上に目立った。

首相は演説で、立憲民主党を名指しで「自衛隊を憲法違反という共産党といっしょにやっている」と、野党の統一候補戦略を徹底的に批判。立民の名前を「民主党」と間違えてきたことに触れ「(選挙で)毎回毎回、党名を替えないでほしい。悪いのは党名ではない。自分たちなんですよ」とののしり、「負けるわけにいかない」と対抗心をむき出しにした。

この日の聴衆は1万人以上と述べた首相は「これまでで最高。勇気百倍です」。党本部は選挙期間中、ホームページに首相の遊説日程を載せない「ステルス作戦」を徹底し、首相サイドが神経質になっていることをうかがわせた。最後のアキバも「組織力」で、批判の声を封じたような形になった。【中山知子】